福野礼一郎の世界(甲)
福野礼一郎の「福野礼一郎の世界」です。
と書いたって、何のことかわからないですね。作者福野礼一郎は本来は自動車評論家です。が、ちょっと一般的な自動車評論家とは違っていて、製品、部品の製造工程にとても造詣が深い評論家なのです。「造形が深い」と書くと奇麗ですが、しかし彼のこだわりは半端ではない。
彼の興味は戦闘機から、戦車から、腕時計から、カバンから、懐中電灯から、日本刀から、椅子から、工具から、およそ人間が作るありとあらゆるものに及びます。しかもその興味は、ブランドとか見た目とかではなく、その設計や製造方法にあります。
およそ人の作るものは、必ず作った者の意志、意図がその裏に隠れています。これは人類の英知と言ってしまって良いでしょう。この英知が理解できたとき、はじめてその「もの」を理解できるのです。
うんうん、その通り。全く同感です。
この本では、自動車評論家福野礼一郎が自動車以外のモノの作られ方の世界を語ります。でもそれらはどこか自動車ともつながっています。人が使う技術は、何を作るとしても、根本で繋がっているところがあるのですね。
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福野礼一郎にはすばらしい著書があります。
「クルマはかくして作られる」
「越クルマはかくして作られる」
どちらもクルマの作られ方を紹介した本ですが、よく見られる車体の溶接ロボットの様子や、車両組み立ての様子などを紹介したものではありません。主としてクルマに組み込まれる各種部品の作られ方を紹介したものです。しかしそれらの部品1つ1つには、それぞれ驚くべき技術が注ぎ込まれています。福野礼一郎ってすげぇ、と思った本です。
この本も、お勧めです。特に技術オタクな人に。
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