逃げ出した死体
伊集院大介と少年探偵 逃げ出した死体 です。
自宅に帰ると、玄関に死体が転がっていた。しかし警察を呼ぶとその死体が消えてしまっていた。。。という謎の展開で始まる物語です。
ストーリーは、主人公である少年の独白を中心に展開されます。伊集院大介は最後の謎解きにだけ登場します。
事件の構図、死体が無くなる理由などは伊集院大介によって語られますが、この本の本題はそこにはありません。延々と繰り返される(笑)独白の中で、主人公である少年が保護者(親)によって保護されていた自分を認識し、親を「親」ではなく一人の人間と認識できるようになり、それに対比して自分をまた一人の人間であると認識できるようになるまでの過程が本題です。
少年が親離れして「人」になっていく瞬間が克明に書かれているわけですね。このあたりの感覚は、少し懐かしい感じもあり、けっこう楽しく読めました。
| 固定リンク
« R362 | トップページ | R52, R358 »
「本」カテゴリの記事
- 鬼切丸伝 18(2023.12.06)
- 好色屋西鶴〈第1部〉(2023.12.03)
- あいまいな会話はなぜ成立するのか(2023.11.21)
- あずさの元禄繁昌記(2023.11.14)
- MOTOR FAN illustrated - Vol.205(2023.11.09)
コメント